十全化学株式会社 様1台のアイソレータで多目的かつ多品目の取り扱いを実現
高活性原料の解砕工程において、粉末が室内及び作業者に対して曝露しないことを目的とした封じ込めアイソレータです。多品目を多目的で取り扱われることから、都度洗浄して使用可能なリジッドタイプのアイソレータを導入しました。装置を大きくしすぎないことと作業スペースの確保の両立が課題であり、モックアップでアイソレータの実物大模型をお客様と確認しながら、将来的な拡張性も含め実運用に照らし合わせた仕様を密に検討しました。解砕機をドッキングし稼働させた状態でのリーク測定で当社基準の0.5%vol/h以下の値となり、お客様にも高気密性を評価頂いております。アイソレータに内蔵するパワーミルもダルトン製となり、上述の通り多目的使用が想定されたため、アイソレータから取り外しが可能な仕様としています。
お客様の課題
医薬品の研究や製造を受託している企業様は、様々な品目を多様な用途で取り扱うことが一般的です。
十全化学株式会社様(以下、十全化学様)においても同様で、様々な作業を多品目で行われますが、高活性物質の取り扱いに伴い、一連の流れを封じ込め設備の中で行いたいというご要望を頂きました。
解砕工程と、その後の解砕品の秤量や小分けも合わせて行うことが想定されましたが、当該作業は他社様のアイソレータにて行われるとの事でしたので、解砕工程を主軸に、他社様製アイソレータとの親和性も考慮しつつ、堅牢な封じ込め設備を構築することが求められました。
運用に合わせた設計の検討
まず、上述の通り十全化学様の多品種多品目生産を行うという特質から、都度洗浄して使用可能なリジッドタイプのアイソレータを導入することとなりました。
ダルトン製のパワーミルD-200をアイソレータと併せてご提案し、使い方と併せて十全化学様、および本件の工事に伴う取りまとめを行われたエンジニアリング会社様と協議を重ねました。
他社様の秤量小分け用アイソレータは解砕品を対象とする封じ込めとなるため、ダルトンのパワーミル内蔵封じ込めアイソレータから原料をシームレスに移行できるように、装置を隣接させてポートを経由した移送を検討しました。
更に十全化学様の運用として、解砕工程における2人作業(解砕作業を行う方と解砕品を秤量小分け用アイソレータに移す方)や、将来的に解砕機を取り外してアイソレータ単体で他の作業を実施することも想定されたため、作業スペースの充分な確保が必要でした。しかし装置が大きすぎると洗浄対象となるエリアが膨大になり、洗浄に要する手間がかかってしまうことになります。とは言え大きさを最小限にしてしまうと、今後は解砕工程の際に充分なスペースが確保できず作業性が落ちてしまうため、庫内の棚などのレイアウトの工夫も含めた最適な空間確保に時間を要しました。
検討はダルトンだけではなく、十全化学様およびエンジニアリング会社様とも三人四脚で行い、特にモックアップではアイソレータの実物大模型を確認しながら、将来的な拡張性も含め実運用に照らし合わせた仕様を密に検討しました。
多目的使用と高気密性を両立するアイソレータの構築
解砕工程は解砕機からの粉末の飛散が著しく、封じ込め設備の選定においても設備グレードが高く設定される工程です。
作業者の方と周辺環境への曝露を防止するため、封じ込める設備には高い気密性が求められますが、その保持にはメーカー独自のノウハウが必要です。
パワーミル内蔵封じ込めアイソレータの前面窓は1枚板のガラス製であり、気密性を確実にするために溶接のひずみを最小限に留めるよう工夫しました。
その他様々な設計上の考慮を行った結果、解砕機をドッキングし稼働させた状態でのリーク測定で、当社基準である0.5%vol/h以下の値となり、十全化学様にも高気密性を高く評価頂きました。
パワーミル内蔵封じ込めアイソレータは、現時点で見えている作業内容はもちろん、将来的な拡張性も見据えて検討した仕様で、高気密性も同時に達成するアイソレータです。
過去20年の実績で培った封じ込めにおける知見をフル活用し、お客様に安全と安心を提供させて頂くことができたと自負しています。
この記事で取り上げた製品PRODUCT INFORMATION
封じ込めアイソレータ
高薬理活性物質などの危険物質を取り扱う作業空間を外部環境から隔離し、作業者と外部環境の安全確保と同時に、取扱物質へのコンタミネーションを防止する装置です。
オールカスタマイズ製作となり、お客様の運用に最適な仕様でのご提案が可能となります。
原料の秤量・調製・サンプリングや粉砕、高速攪拌造粒などの粉体加工処理、危険物質を使用した治具の洗浄(失活化)など様々な工程の封じ込めが実現可能です。
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