「共通化」を柱に、
多様な変化に対応するラボ。
多様な変化に対応する「共通化」を柱に、
「個別化」の意向も調整。
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構において、量子ビーム応用研究の中核拠点である「高崎量子応用研究所」では、2015年、材料創製に挑む「材料科学研究棟」を開設。同棟の大きな特色は、将来の研究内容の変化や人員の増減などに柔軟に対応するため、ラボ空間全体に汎用性を高める「共通化」が図られていることです。また、基本コンセプトとして「共通化」を貫きつつも、研究グループごとの要望が反映できる「個別化」の余地を持たせ、情報管理や薬品管理などの安全性にも配慮しています。

[出会いを誘発する動線計画](2、3 階共通)
南側に位置する広い「居室」内やフロア中央にある「共通実験室」内において、ほかの研究グループとの会話を誘発。さらに、「居室」と東西両サイドにある「個別実験室」を結ぶ通路や、「共通実験室」と「個別実験室」間の通路などで、あえて研究者の動線を交差させ、偶発的な出会いを起こす仕掛けも施されています。
2フロアに及ぶラボ空間では、各フロアの中央エリアに複数の研究グループで共用できる機器が集約された「共通実験室」を配置。その東西両サイドに各研究グループで使用する「個別実験室」を配置しています。実験機器の共用やラボファニチャーのモデル統一などによる「共通化」を推進しながら、研究グループ別の実験室の確保などで「個別化」や「クローズド化」も実現しています。

低風量でも優れた封じ込め性能を発揮する「ドラフトチャンバー」。作業空間も旧研究棟で使っていた機種に比べ広くなり、よりスムーズな実験が可能になりました。

優れた耐荷重性能で安全性を高めた「中央実験台」。「試薬棚」には、多様な収納物の落下を防ぐ2 段式のパイプが装備されています。
交流を促し、出会いを誘発する、
多彩な共用スペースとゾーニング。
「居室」と多数の「実験室」を設けた同棟の2 階と3 階では、基本的なゾーニングを「共通化」。各フロアの南側に3 つの研究グループで共用する広々とした「居室」を設置することで、研究グループの枠を超えた日常的なコミュニケーションの活性化が図られています。
また、各フロアの中央に配置した「共通実験室」は、「個別実験室」のある東西両サイドに出入り口を設け、研究者の作業動線を短縮化。「居室」と「個別実験室」、「共通実験室」と「個別実験室」間の通路の動線を意図的に交差させることで、研究者同士の偶然の出会いを誘発しています。さらに、「居室」と「実験室」の間にはオープンなコミュニティ・スペースが用意され、飲食を交えたミーティングなども気軽に行えます。

東西約28m に及ぶ、3 つの研究グループで共用する「居室」。ほかの研究グループとも会話がしやすく、新しい視点からの発見を促します。

2 階と3 階の階段近くにあるオープンな「コミュニティ・スペース」。上下階に移動する研究者との偶発的な出会いも期待できます。
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所 材料科学研究棟