高品質な検査が見渡せる、
動線を追求したレイアウト。
「魅せる工場」内で、
「見せる品質」を具現化した試験室。
東北ニプロ製薬株式会社は、経口剤と軟膏剤を中心とした医薬品の製造受託メーカーです。生産能力を高めるために、全長が125mにも及ぶ第二固形剤棟を新設。新棟の重要なコンセプトを「最新技術を導入した魅せる工場」とし、製造工程や品質管理の様子が見学できる通路を用意しています。その新棟全体のコンセプトを受け継ぎ、具現化するために「見せる品質」をキーワードに構築した空間が、各製造工程の品質をチェックする「試験室」です。

天板を柱回りまで延長させ、純水製造装置とミニサイズの流し台を設置した「実験台」。

実験台下部は収納を設けつつ、蹴込みの奥行きを約30cm確保。脚を開くことなくイスに座って作業ができます。
品質の高さを見せるためには、見学者から試験者の動きや作業が見えなければなりません。そのため、視界が遮られる実験台上の試薬棚などを設置せず、室内全体が見渡せる空間を計画しました。そして、実験台上に棚がないという作業効率上のデメリットを補うため、試験室の立体的なミニチュア模型をつくり、試験員それぞれの動線を徹底的に検証。
多様な設備機器の配置はもとより、サイズ、機能など細部に至るまで検討を重ね、「見せる品質」を実現した試験室が生まれました。

実験台上に試薬棚などはなく、整理整頓が徹底され、部屋の奥までが見通せる「試験室」。
安全性を保ちつつ、
最小限の移動距離で効率的に作業進行。
器具や機器を使用する際、できる限り短い移動距離で済むように試験室をレイアウト。品質チェックで頻繁に使う純水製造装置は、ほぼ中心にある実験台に設置したため、試験員全員がスムーズに行き来できています。
また、実験台の天板は特注仕様で約5mの長さに広げたため、100 検体ほどを並べることが可能。試薬棚などは目の前にないものの、一度に多くの試験が進められ、大幅な効率化が図られています。さらに、試験室に面した洗浄室との間に、ガラス戸を両面から開くことができる大型の器具戸棚を設置。試験室と洗浄室のどちら側からも簡単に器具が出し入れでき、洗浄室に入ることなく必要な器具が取り出せるため、試験員の移動距離が短縮できています。そうした効率化の徹底だけではなく、安全面への細やかな配慮も行き届いています。
人と人が交差する通路では、歩行が優先される通路を決め、床の色分けをすることで安全でスムーズな移動を実現。数々の創意工夫が結晶した「見せる品質」は、多くの見学者の目を輝かせています。

洗浄室で洗ったガラス器具を回り込むことなく試験室側からも取り出せる「器具戸棚」。

クロマトグラフィー室にある実験台の天板は、廃液チューブの通せるスリットが設けられ、安全性を高めています。
東北ニプロ製薬株式会社 第二固形剤棟/試験室
〔第二固形剤棟〕