PROJECT STORY 仙川キユーポート

ダルトン&イトーキのノウハウを結集し、顧客との共創で施設全体のコンセプトを具現化。

キユーピーグループのシナジー効果を高め、長期的な発展を生み出すために開設された、研究開発・オフィス複合施設「仙川キユーポート」。「その会話から生まれる。未来とつながる。」を建物全体のコンセプトとして2014年5月に竣工したこの施設は、どのようなプロセスを経て、ワークスタイルを大きく変革したユニークな環境が誕生したのだろうか。「仙川キユーポート」の構想段階から顧客と共に取組んだメンバーに話を聞いた。

物件概要 OUTLINE

キユーピーグループ研究開発・オフィス複合施設 仙川キユーポート

研究開発と品質保証機能、そしてグループ17事業所(2013年入居時点)のオフィス機能を集結した複合施設「仙川キユーポート」。キユーピーマヨネーズの赤い網目をイメージさせる「X型アウトフレーム」で包まれた個性的な外観が目を引く。

  • 所在地:東京都調布市
  • 工期:2011年5月〜2014年5月
  • 階数:地下1階・地上5階

プロジェクトの流れ PROJECT PROCESS

提案・基本設計
2011年5月〜 建設構想のプレスリリース以降、いち早くお客様へラボの最新情報を提供。現状施設の課題をユーザー目線で細やかに把握し、ダルトンとイトーキがタイアップした独自のソリューションによる基本プランを提案。
実施設計
2012年9月〜 基本設計をもとに、ラボファニチャーや設備機器の詳細設計をスタート。ダルトンのショールームでの実機の確認はもとより試作品で実際の使い勝手などもご確認いただきながら、顧客の理想環境を追求。
施工・移設
2013年9月〜 新規で導入するラボファニチャーや設備機器の搬入・据付だけではなく、旧研究施設にあった多様な設備機器の移設業務も同時に対応。効率的な施工方法の考案などによって、移転期間の短縮を実現した。

Phase 01 提案・基本設計フェーズ

早期からヒアリングを重ね、 2社の強みが結集された提案で参画。

榎本 篤郎

ダルトンがイトーキグループの一員となって間もなく、2社協働で取組んだビッグ・プロジェクトが、「仙川キユーポート」建設構想への参画であった。

ダルトン(以下、D):榎本「建設構想の早い段階から面会の機会をいただけたため、まずラボのトレンドや事例などに関する多くの情報をご提供するよう努めました。お客様サイドでは実験室分科会を結成され、空間設計からラボファニチャーに至るまで多様なご意見をまとめていかれました。私たちは、そこで話し合われた内容を幾度も伺い、現状の多様な課題の把握はもとより、お客様が目指される理想のラボの姿をイメージしていきました。建設構想初期から私たちダルトンは、イトーキのメンバーと連携し、お客様が掲げられた重要なコンセプトである会話が誘発される仕掛けを考案するとともに、現状の課題が解決できるプランを練り上げ、簡潔に5枚の提案書に要約してご提示しました」

榎本 篤郎
株式会社ダルトン
施設機器事業部 東日本営業統括部
東京支店 営業一課 係長
榎本 篤郎
ラボの事例紹介や試作品の意向調整などを営業の窓口として幅広くサポート。
榎本 篤郎

イトーキ(以下、I):前田「ダルトンはラボファニチャーの詳細仕様までを緻密に具現化し、私たちイトーキは、オフィス機能に近いエリアのプランニングを担当しました。多くのメンバーが関わる本物件の特性を踏まえ、提案や設計のポイントが明確に伝わるよう資料の作り方にも留意しました。 それぞれが強みを生かし、両社のノウハウをうまく融合できたことが、お客様のご要望に応えることにつながったのだと思います」

ダルトンとイトーキのプロジェクトチームは、2社の知識と技術を融合した独自のソリューションを提案。その提案内容は顧客や設計会社から高く評価され、2011年10月、プロポーザル(設計者選択)に選ばれたのである。

前田 雅敏
株式会社イトーキ
営業本部 東京支社 多摩支店
支店長
前田 雅敏
進行管理や情報提供などでプロジェクトのファシリテーター的な役割を務めた。

Phase 02 実施設計フェーズ

建物&フロアコンセプトに基づき、 レイアウト、什器、照明を研究者と共に設計。

ダルトンとイトーキのプロジェクトチームは、「その会話から生まれる。未来とつながる。」という建物全体のコンセプトを具現化するため、食品実験室の実験台を斜めに配置し、動線をつなげることで偶発的な出会いの機会が増えるレイアウトプランを提案。さらに、外部の企業や研究者との協働の場である「オープンラボ」のファニチャー選定などもサポートした。

D:榎本「お客様の分科会で定められた3階のフロアコンセプトは、『オープンダイニングキッチン』。そこには、仕事をシェアしながら楽しみイノベーションをおこそうという意味が込められています。そのイメージを演出するため、オープンな働き方で、人と情報が頻繁に交差するプランをご提案しました。」

オープン空間の実験室
回遊廊下の内周にオープン空間の食品実験室や化学実験室を配置し、交流を促進。
専門性の高い実験室
回遊廊下の外周に専門性の高い実験室や集中スペースを配置。
aima
内周の実験室をつなぐコミュニケーションスペースを3カ所に配置。
光庭
透明性や採光などのために随所に配置。
布野 章人

I:布野「『オープンラボ』の実験台や棚などの素材は、仙川キユーポートの地元の多摩産木材を使ったイトーキ製品(econifa)が採用されています。実験台の天板部分は、耐薬品性に優れたダルトン製品ですから、まさに2社の専門技術が統合されたラボファニチャーと言えます。また、ラボへの大規模導入として当社で初めての試みになったのが、省エネ効果の高い『タスクアンビエント照明』です。製品が完成できたのは、多くの研究者の方々に試作品を幾度もチェックいただき、2社のノウハウを融合させて調整に取組めたからです。完成品は研究者の手元に均一な光が届くのはもちろん、卵黄が最もきれいに見える色温度に調整されています」

布野 章人
株式会社イトーキ
営業本部 東京支社 多摩支店 主任
布野 章人
顧客の旧研究施設での経験も加味して、意向を的確に反映した製品化に尽力。

顧客が実機を見て、触れて検証。 その結果で理想環境への精度を向上。

関 善之

2012年9月には、基本設計から設備機器の詳細設計へと移行する実施設計がスタート。顧客の社内での打ち合わせだけではなくダルトンのショールームでの実機検証なども行い、ユーザーの理想環境に近づけるよう製品の精度を高めていった。

D:関「仕様書などの書面だけでは、製品の細部にわたる使い勝手などをご理解いただくことは難しいものです。そのため、静岡県藤枝市にある弊社のショールームに2回ほどお越しいただきました。そこでは椅子に座って作業がしやすい実験台作業面の高さを体感していただくなど、実機に触れながら機種選定から詳細仕様までをご検討いただきました。そうした実体験とともにご要望をくわしく伺うことが、理想的な研究環境をつくるためには欠かせないのです」

関 善之
株式会社ダルトン
施設機器事業部 エンジニアリング統括部
東日本エンジニアリング部 二課 課長
関 善之
研究開発エリアのレイアウトから製品に関する詳細設計までを担当。

D:榎本「このプロジェクトでお客様が何より優先されたことは、研究者の方々に対する安全性への配慮でした。そのため、けがのないよう天板の角をR加工にしたり、引出に手を挟まないようにゆっくりと閉じるソフトクローザー機能を付加させるなど、主に小・中学校などの教育施設で採用される、特に安全性の高い仕様をお選びいただきました。さらに、開き戸には耐震ラッチが付き、地震の揺れで薬品などが飛び出さず、避難経路の確保もできるようになっています」

照明の位置や色温度の調整を重ねた「タスクアンビエント照明」が設置された「食品実験室」。実験台を斜めに配置することで、回廊から人が流れる動線をつくった。
木目を基調とし、カラフルな配色が施された「オープンラボ」。企業や大学など外部の研究者とグループ内の研究者が集う、知のコラボレーション空間である。
研究者の方々がショールームを訪れ、実験台やフレキシブルフードなど実機の使用感を確認。詳細な意見まで耳を傾けることが、理想環境づくりの鉄則となっている。

Phase 03 施工・移設フェーズ

施工方法などの見直しによる効率化で、 移転期間を大幅に短縮。

新設であっても、今回のように旧研究施設からの引っ越しが伴う場合、その移転期間中、各研究者が進めている実験・試験業務は滞ってしまう。研究開発にさらなるスピードアップが求められる時代、業務の進行が妨げられる移転期間は1日でも短くしたいところだ。

D:関「お客様から『当初の予定より移転期間をできるだけ短くしてほしい』というご要望がありました。そこで、通常は施設内に搬入してからパーツを組立てる製品について、搬入前でも組立て可能な部分は敷地内の一角を借りてあらかじめ組立てを済ませておくようにしました。搬入後の組立て作業工程が短縮できるため、据付・配管作業へと一気に進めることができます。その結果、移転の予定期間だった1ヵ月半から1ヵ月弱へと短縮することができました。」 今回、ダルトンは旧研究施設にあった多様な設備機器の移設も顧客から依頼された。新規の設備機器の導入だけではなく既存設備の移設も含めて承ることで、よりトータルな視点からの作業効率化が図れたようだ。

初期段階からの2社協働サポートで、 交流促進につながる設備共用化を推進。

そうした幾多のプロセスを経て、キユーピーグループの研究開発・オフィス機能が結集した「仙川キユーポート」は、2014年5月に竣工。個性的で斬新な空間創造によってワークスタイルの変革に成功した事例として、各方面から注目される施設となった。

D:榎本「3階の研究開発フロアについては、実験室分科会のメンバーだけでなく他の社員の方々からも高くご評価いただいていると伺っています。多くのお客様にご満足いただけたのは、建設構想の早い段階からビジネスパートナーとしてご相談いただけたことが大きいものと思います。構想段階からお客様と共に課題解決に取組んでこられたからこそ、その後の各プロセスでベストといえるソリューションにたどり着くことができたのだと確信しています」

I:前田「この協働プロジェクトは、ダルトンとイトーキ、それぞれのノウハウが発揮でき、お客様の課題解決につなげることができたものだと思います。また、2社の連携による多角的な顧客サポートの道を一層広げることができたプロジェクトになったと思います」

ダルトン本社にキユーピー様がご来社された際の様子。

プロジェクト終了後、感謝のメッセージも頂戴した。

ラボの貴重なノウハウを長年にわたり蓄積したダルトン。そして、オフィスを斬新な発想でデザインするイトーキ。研究環境を創造する顧客のパートナーとして、2社が連携した独自のソリューションや製品を提案し、従来のワークスタイルを大きく革新し、より理想に近づく環境づくりを目指している。

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